Wednesday, October 24, 2007

団長の登場

皆さん、今日は。久しぶりの話の続きです。一週間の休みがあった所為でサスペンスが高まったでしょうか。


立て

フリードマンが瞬間に泥の池から立った。地面はまだ随分濡れていたが、空は完璧に青くて、雲は影も形もなかった。

「雷雨はどうなった」とフリードマンが自分に囁いた。

「あいつらはもう封印したみたいだ、その紙。」

これは立てと言ったと同じ声の台詞だった。フリードマンはその時まで他の人がいるとまだ気がつかなかった。周りを見ると、そばに誰かが立ち止っていた。一秒後その人の外見が分かって、目が丸くなった。

「団長!」

泥の中にいたのに、分かった直後跪いて手も額も地面まで押した。「許してください、団長」フリードマンが惨めに嘆願した。「紙も失って、小僧も逃してしまった。その言霊使いの女が私を吃驚させた。今度は失敗したが、これからそういうこと絶対二度起こらない。」

「心配するな」と他の人が言った。その人の声はフリードマンのよりも深くて、晴れの日には気になるほど不自然だった。「実は失敗ではなかったから許してやる。勿論、失敗だったらもう首だが。」

とんでもない怖い話だったが、フリードマンは団長からそういう事を聞くのに慣れたから、戦慄など全然しなかった。「どうもありがとう、団長。」

「立てと言ったではない」とその団長が少しむしゃくしゃして言った。「泥に時間を無駄遣いのを止めろ。」

「はい。」フリードマンが早速立った。「団長、失敗じゃなかったとおっしゃったけど、それはどういう意味か。」

その団長は半分ぐらい何の答えもしなかったから、フリードマンはもう一度「団長」と言った。

以前よりもっとむしゃくしゃしていたように、「この晴れた天気は大嫌いだ」と言った。謎さんと同じように文字を泥になぞった。勢いで足元でなぞったが、靴に泥の跡形はなかった。実は、フリードマンがそういうことで団長が分かった。雲がなくてもその人の顔が分かりにくかったが、泥の池まで歩いたにもかかわらずスーツも黒い靴も全然濁っていなかったから、あ、団長に違いないと分かった。

雷雨」と団長が強力な声で言った。

間も無く雲が空に戻って、一分待たずにまた凄い雷雨の中にいた。「不気味でいい」と団長が満足げに言った。

フリードマンは大体団長の奇癖に慣れていたが晴れた天気を続かせていいのにと思った。「あの、団長、紙を失うのが失敗じゃないとおっしゃったが。」

「そうだ。最初からその紙は目的ではなかった。ただの気を散らさせる事だった。」

フリードマンはイライラした。「団長、それは私に前に教えて欲しい物だよ。」

「いや、お前はいい俳優ではないから、分かったら計画をうっかり漏らしてしまう可能性が高すぎる。」

「分かった」フリードマンがため息をつきながら言った。「じゃ、紙を奪う事はしないか。」

団長は「勿論その紙に力があるが、それは我々の目的ではない」と真面目な声で言った。団長はいつも真面目だったが、時々強調が必要だ。

「じゃ、その小僧も。」

「その小僧という呼び方を止めろ。同じ年齢ではないか。」

「はい。その学生も目的じゃないか。」

団長はちょうどいい不気味な雷を待って、「それは後で決める事だ。」



続きを楽しみにしてください。