「この女。。。誰」と不思議な運転手が海ほど深い声で聞いた。
「あのメンデル爺の娘です、団長」とフリードマン君がむかついたように答えた。「もう、あいつ、解放しなくていいのに」と自分に呟いた。
「誘ったはずだけど」と団長が少し責めるように言った。何かがうまくいかなかったとき、いつもフリードマン君を責める癖があった。そのためかフリードマン君がいなくなっていた数週間はイライラしていた。
「ちゃんと誘いましたよ。でも、死ぬほうがましだと言われてしまったんです。」
「そうか。それでは倒すしかない。」
「私を倒す気があれば」とどこからともなく現れた謎さんが遮った。「遠慮なく倒してみろ。」
フリードマン君は「ふふふ」と笑って、団長は「そのつもりだ」となるべく不気味な声で返事した。
トレバーは手伝おうと思って謎さんの傍まで歩こうとしたが、シェーファー君に引き止められた。「オイオイ」とシェーファー君が興味深い声で言った。「お前がアンナ女を隠してたのかい。」
トレバーが振り返った。「ま、そう見えるけど。」
「劫火」フリードマン君の声がした。
「じゃ、これからどうする」とシェーファー君が汗をかきながら聞いた。
「どうするって。」
「豪雨」謎さんの声。
「邪魔になりたくねいから」とシェーファー君が大きい声を上げて叫んだ。「どこかへ去ってあげようか。」
「いや、そんな関係じゃないよ」と濡れ鼠になっていたトレバーが答えた。
「劇震」団長。
「うそ。。。つき」とよろめくシェーファー君が言った。「お前の。。。頭の中に。。。いた。。。ウワ」地面まで落ちた。「関係ねいってふざけるな。」
「違うってば」とかろうじてシェーファー君を立たせたトレバーが言った。「この前会ったことない。」
「空翔鳥翼爆風」謎さん。
トレバーもシェーファー君も一瞬に地面に倒された。「それは一番信じにくいな。だって、知らない女を頭の中に入らせるわけねいんじゃねいか。」
「普通だったらそれはそうだけど。」
「土神拳」フリードマン君。
「だろう。ここで絶対ラブシーンになるぞ。」
「雷神怒鳴」団長。
「馬鹿なこと言うな。戦いの中にいるんじゃない。ラブシーンなんか考えてる場合じゃねいぜ。」
「地獄第九圏。万年真冬。氷幽閉」謎さん。
「ちょっと寒くなったんじゃない」とシェーファー君が聞いた。
「終わったよ」と謎さんが息を切らして言った。
トレバーが吃驚した。「もう終わったか。」振り返って見て、もう少し大きく吃驚した。団長もフリードマン君も巨大な氷の塊に閉じこめられていた。「僕も手伝いたかったんだけど。」
謎さんがちょっとだけ悲しい笑いをかけた。「言っただろう。お前は何も出来ないということを。もう忘れてしまったが。」
「でも、使った。シェーファー君も見たね。」
「うん」とシェーファー君が言った。「ここにいるみんなと同じような変人だ、こいつ。」
「それは私がお前の頭の中にいたからだけだ」と謎さんが説明した。そしてシェーファー君にはじめて気づいたようにビクッとした。「この人は誰。」
「シェーファー君だ」とトレバーが紹介した。
「よろしく」とシェーファー君が平気に言った。
「連れて行くしかないだろう」と謎さんが自分に呟いた。
「連れて行くって、どこへ行くか」とトレバーが聞いた。
「いつもいつも質問でうるさいよ」と謎さんが少しむかついたように言った。「一度でいいから、知らないまま我慢しろ。」
「オイ。俺も質問あるよ。二人とも、恋人かい。」
「馬鹿野郎」とトレバーが言った。
謎さんは長い間無表情でトレバーを見た。トレバーの中で変な気持ちがした。それからシェーファー君の破壊された車まで歩いた。「いや」と答えた。「ただの知り合い。」
続きを楽しみにしてください