Thursday, April 17, 2008

まだ終わっていない

「あ、寒かった、寒かった」とフリードマン君が言った。

「寒さが嫌いなら」と団長が少し怒っている声で言った。ただの埃のように氷の塊をジャケットから払い除けた。「今度はかわせ。」

「団長もかわせなかったけど」とフリードマン君が呟いた。

団長が周りを見た。女も二人の男生も消えた。車の残骸もなくなった。「逃げた」と意外に心配していない声で言った。

「追いますか」とフリードマン君が躍起に聞いた。謎さんに二回負けるとは堪らない恥だった。そしてそいつらを追わないなら団長がフリードマン君を責め続けるはずだった。

団長が近くのベンチに座った。「必要ない」と随分平気に言った。

「でも」とフリードマン君が泣きそうに言った。

「心配するな」と団長が笑って言った。「追わなくてもここに来るはずだ。」

***

「研究所に行かないか」とトレバーが聞いた。最初には十五分前に滅ぼした車の中に乗ることはあまりにも変でほとんど考えられなかった。しかしそれに慣れて直ぐ方向が間違っていることに気がついた。

「その計画は当然過ぎる」と謎さんが答えた。「敵がそれが一瞬に分かるはずだ。敵を混乱させるのは基本的な戦略だ。そして父を危険にさらしたくなかったのだ。」

「あんな敵を混乱させる必要あんのか」とシェーファー君が聞いた。謎さんが壊れた車を蘇らせたことの恩返しとして車の中では何も言わないと約束したが、やはりその非常な状況には約束は守りにくかっただろう。「だって、自分だけで混乱するみたいだから、俺たちが手伝う必要ない。考えすぎじゃ。」

謎さんがその質問に答えた。トレバーがその我慢に感動した。「フリードマンはそうなんだけど、団長は別のレベルだ。あいつを軽視すればいけない。とんでもない人だ。」

「そんなに酷い奴であればどうしてそいつの車に乗らせた」とトレバーが少し疑わしげに聞いた。「私の頭の中にいたんじゃない。」

「乗らないと言ったよ。しかし、フリードマン君は乗れと言って、お前はちょっと馬鹿だからそちらのほうのアドバイスに従ってしまった。」

「そっか。」やっぱり僕が馬鹿だなと思った。「でも、どうしてもっと早く頭から出なかったか。ずっと前から謎さんの手伝えがあればこんなに酷い状態にならなかったはずだ。」

「俺の車もなくならなかったりし」とシェーファー君が付け加えた。

「お前を守りたかった」と謎さんが小さい声で言った。「その紙――もう覚えていないが――その紙がしたことは全てお前の安全のためだった。記憶をなくしたこともそうだ。私が出ればそのことを全部無意味にしたに違いない。でも、お前が馬鹿だし、記憶の空白を無視できなかったから結局出るしかなかった。」少しだけ道から目を離して、トレバーを涙を浮かべんばかりの顔で見た。「いつもただお前を守りたかった。」

トレバーは吃驚した。実は、そんなに努力して探していたのに、前にアレックサンドラ・メンデルはどんな人かとはほとんど考えなかった。だからなるべく何になっても驚かないようにしていたが、このような頭の中にいた守護天使はやはり意外だった。同時に見つけてよかったとも探さなくてもいいのに無理やり出しちゃったとも思った。

「今もそうだ」と謎さんが突然車を止めて言った。トレバーに何かを言う機会を与えずに「長閑睡眠」と唱えた。トレバーが一瞬に寝てしまった。

シェーファー君も寝させるつもりだったが、振り返ってみたらもう車の後部座席で寝ていた。車から出て、トレバーの寝ている顔を窓を通してみた。「御免と言おうと思ったが、悪いことをしていないしお前が対決に行っても何も出来ないから謝らなくてもいいと思う。文句があれば、私が戻ってきてから言ってくれ。」



続きを楽しみにしてください