その恐るべきドアを通ってから米国中西部中央言霊研究所は始めて本当の研究所に似ていた。強い電気が様々な奇妙な機械を照明していた。汚れや埃は微塵もなかった。目を引いていたのは、歯科医院のように真ん中、そして一番強い電気の真下に椅子があった。トレバーはその部屋が研究所の廊下よりずっと面白そうだと思ったが、やはりまだ廊下にいるほうは絶対ましだった。
「座れ」と謎さんに言われて、随分緊張して不気味な真っ白い椅子に座ってしまった。丸い目で色々なスイッチを押したりレバーを動かしたりしていた謎さんと所長を追った。
「あの~、これ、痛いだろうか」とトレバーが怖がって聞いた。
謎さんが、機械の操作を止めずに、「はい。痛くなる。」しかし、数秒後「正しく言えば、人が痛みを期待すればこの機械の気持ち悪さはそんなに大変じゃないはずなのだが。」
「そう言われたら期待が変わるけど」とトレバーが少しだけ怒って言い返した。
機械の始動に夢中になって、謎さんの耳にはその言葉が全然届けなかった。「はい、準備万端」と言って、所長とともに椅子まで近づいた。
ただの実験用ラットだという自分を見下ろしていた顔を見て、トレバーは恐怖で震えた。「あの~、これ、試したことあるだろうね。」
瞬かずに謎さんは「いや、最初実験だ」と言った。
「南無阿弥陀仏」と所長は言った。
文語が全然分からないトレバーにもその台詞の意味が通じた。死んだ人が楽園に行ける為の祈りだった。「オイ、待~」と言い始めたが、その瞬間頭上にある電気がまばゆいばかりに光って、大変気持ち悪い感じに負けて体の動きの制御が出来なくなった。
暫く目をあえて開けたくなかったが、ついに開けて周りを見た。一刻も早くもう研究所にいないということが分かった。ビルではなく、広く開放的な空間に立ち止っていた。何の地勢もなかったが、どこでも多数の声が囁いていたことが聞こえた。
「これは本当に頭の中か」と自分に聞いた。
「ま、その一部だ」とそのところまで見えなかった謎さんが言った。「ここは前頭葉だ。言語に関係がある場所だ。」
もう怖がる力がなかったから、トレバーはただため息をついた。女が頭の中に歩き回ってるか。これは多分変な心理の症候群になっちゃうだろうと思った。「何してる」ともう反抗できないというような声で聞いた。
何も見えないところで突いたりしていた謎さんは「言霊の力のレベルなどチェックしている」と答えた。
「はいはい、どうぞごゆっくり続けてください」と勿論皮肉な声で言った。何のするべきこともないと思って、頭の中の声の囁きの内容を知ろうとよく聞いた。
突然、「へ~。嘘だろう」と聞いた。これは不思議な囁きではなく、謎さんの台詞だった。
謎さんに向いて、信じられない顔をしていると見た。好奇心がそそられて、「何が嘘か」と聞いた。
「これ、さっぱり分からない」と謎さんが自分に言った。そしてトレバーがいると思い出して、むしゃくしゃして説明した。「ここは大抵言霊の大切な力の源だが、何も見つからない。でも、その凄い力がある紙に何かを書いたから、ここに何もないはずがない。」
「えっと、前にはこの機械を使った事がないと言ったんだろう。だから何でその事分かるか。」
「これは先端技術だ」と他の問題を考えているように答えた。「前は他の機械でこんな事を研究した。」
「あの~、次回があれば、その古い機械使ってもらいたいけど。」
聞いていない謎さんは、「来い」と言って、トレバーの腕を掴んだ。もう一度変な気持ちを感じて、いきなり違う場所に行ってしまった。地理的に同じだったが、囁いている声の変わりに様々な文字がどこでも漂っていた。
「ここは一次視覚皮質」と謎さんが色々なところに突きながら説明した。「書き言葉に関係が。。。」と言い始めたが、とまって暫く無言で考えた。やっと、「こんな状態あるのか。始めて見た」と自分に言った。
ちょっと心配して、「僕の頭の中の状態を説明してくれないか」とトレバーが聞いた。
謎さんが好奇心強い顔でトレバーを見た。「言霊を使う事に二つの方法があると覚えているだろう。書いて、それから声で力を解放する。その第一の力の源はこの一次視覚皮質で、第二のは前頭葉だ。お前の頭には一次視覚皮質に物凄い力があるが、前頭葉には全くない。」
「と言うと。。。」
「その紙のような信じられないほど言霊の力が封印されている書き物が作れる。しかし、その力を解放する能力はない。」
「じゃ、言霊使いになれないって事か」とトレバーは言った。少しだけがっかりしたが、大きい悲惨ではなかった。言霊使いになりたい気持ちは十五分前からの事だったからだ。
謎さんは頭の中を調べる事に戻った。「心配するな」と言った。「直ぐその紙の内容を見つけるはずだ。」
前頭葉のときと同じように、何をするべきか分からなかったから、どこでも漂っている文字を読もうとした。数分後、突然「そうか」と聞いた。
謎さんはとても静かな声で自分に話していた。前の多数の声が囁いているところであれば聞こえなかったはずだ。トレバーの好奇心が強くなって、謎さんに一歩近づいた。
「そうだったら何も覚えない」と謎さんはよく想像力を動かしているように言った。それから急にトレバーに向いて、そのときまで見えていなかった表情で相手を見た。
「あの~」と躊躇して言った。「二人きりだけど。」
本気かとトレバーは思った。いや、そのはずがない。でも、それ以外何の説明も考え出せなかった。そこまで気がつかなかったが、頭の中の謎さんは眼鏡もかけなくて雨着も着ていなかった。髪の毛が長くて金色で、目は大きくて青だった。こんな美人が科学者かとトレバーは思った。口を開けたが、何の音も出なかった。
それを見て、謎さんはニヤニヤした。「馬鹿」と静かな声で言って、トレバーのほうへ一歩一歩近づいた。
トレバーはもう一度体の動きがコントロールできなくなった。いや、頭の中に女とイチャイチャすれば絶対変な心理の症候群になっちゃうと思ったが、動けなかった。
続きが気になる場面で終わってすみません。その続きを楽しみにしてください。
6 comments:
歯科医院は世界一怖い所ですね。
続きの参考に:
http://jp.youtube.com/watch?v=v4_M5PcJQmU
トレバーさんにも霊の能力が出来たことですか?何を頭の中に入れたんですか?
「その第一の力の源はこの一次視覚皮質で』本当の言葉ですか?
分かりにくいですねぇ。
おーい!
なんでイイトコロで終わっちゃうわけ!?
まったくもー。
本当にひどいですね、トレバーさん。そんなところに終わるの。。。
でも、やりましたね!
「え〜?ここで終わり?」
私も思わず口に出して言ってしまいましたよ。
この後どうなるんだろう、本当に。
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