Monday, February 4, 2008

アフター・ワンダフル・ライフ

今まで見た是枝監督の映画は「誰も知らない」と此の「ワンダフル・ライフ」です。なんとなく小津監督の映画を思い出させる。傑作映画では、小津監督は慈悲深い神のように登場人物を善人と悪人を分けずに、一般人の望み・失望・弱点・小さな幸せを優しく見せてくれます。涙もろく感情的なことも簡単なシニシズムも避けながら、感情を上手くかき立てることが巧妙で偉い。

「ワンダフル・ライフ」の目的も制作は普通の映画より興味を起こさせるから、小津のような監督に比べて、普段より厳しい目で見たかもしれません。前提だけがあまりにも面白くて、深く掘り下げられるテーマです。ドキュメンタリー風が正常性を強調して、超自然的な内容を自然に受け入れる。目立たない語り方で、ゆっくりとキャラクターを観察することが出来ます。

 死者のインタビューを聞くのと委員同士の関係を見るだけで十分面白かったです。でも、終わりの方には、監督はそのスタイルに自信がなくなって、無理に主役を決めないと駄目のような気になったみたい。私にとって、心をわざとらしく温まらせようとしている気がしました。死んだ後の人はどうなるかはもう十分感情的なテーマですから、感傷をさらにふける必要はないと思います。料理に例えると、折角煮込んだソースに最後に砂糖を少し入れ過ぎるようです。

是枝監督は小津監督と同じようなヒューマニズム感があるから、いずれ自分なりの人間主義名作が作れると思います。これからの映画を楽しみに待っています。

関連質問:

*幸せな瞬間ってどれぐらい長いですか。瞬間を永遠に追体験することってどういう意味ですか。

*なんで夢・作り話は駄目ですか。面接官はどうやって判りますか。

*死者の人生は判断されないが、皆はやっぱりほのぼのとした思い出を選んでくれました。その死後局は嫌な幸せの瞬間でも再現しますか。

*人生の思い出は頭の中にあるし、ビデオにも載っているみたいから、なんでまた映像上で再現する必要ありますか。フィルムが発明{はつめい}される以前の死者{いぜん}はどうしましたか。

*私だって、大切な思い出を安っぽいセットで知らない人と演出すると、永久に落ち込んじゃうと思います。皆さん、自分の思い出を再現することについてどう思いますか。

7 comments:

Anonymous said...

私も同感です。特に関連質問の4問目が気になりました。死後局の複雑な仕組みを、もう少し効率的に改善できないのでしょうか?まるで、日本のお役所のようですねって、詳しくはわかりませんが・・・私の妻がいつも日本の役所の効率の悪さに怒っているから。話しがそれてしまいましたが、とにかく既に人生が録画されているテープを映画館で放映したらいいことを、何故わざわざ再現しているんでしょうね。死後局員は人生再現以外にもいろいろ仕事があるだろうから、経済と時間の両面で一番効率的な方法(つまり人生再現を省くこと)を行えば良いのに、と思います。

Wordsman said...

僕もその映画の作り方にちょっとがっかりしました。天国のようなところ(ま、天国には見えないんだが)で雲をコットンから作りますか。偽物の桜しかないですか。本物のセスナがないですか。やっぱりがっかりしてしまうと思います。特に変なところは自分の人生の一番大切な瞬間に自分の役はただ居合わせる人だということだと思います。

Sohyun Chun said...

アミさん~すごいな~ 本当にその通りです。もう人生を全部録音したビデオがあるのにどうして再現するため大騒ぎをするんだろう~また、再現も完璧にできるはずがない。

ただ、一生懸命に能力を尽くしていることだけは十分に分かりますね。あまり効果がなくても、一生懸命何かしている、感動的なものを作っていますよ~だけは、確かに伝える映画だと思います~(ちょっと酷いかな^^;;;)

Lawrence said...

そうですね、ニックさん。お役所みたいですね。それから効率性よりも、もう少し奇麗な場所だったらどうでしょうか?確かに、周りの景色なんかは醜いわけじゃないですけど、死後局の本館はあまり奇麗じゃないと思いませんか?
やはり、がっかりしますね、トレバーさん。

明君 said...

いい質問ですね。
私にとって、思い出を再現できないこそ、思い出の珍しさがよく感じられます。
また、その時思い出は色々な要素があって、例え人物とか、背景とかどんなに真似しても、その時の気持ちをそのままに再現できない可能性が強いと思っています。

Aridome said...

さすがはマイケルさん、まず映画全体を巨匠小津と引き比べながら批評をして、それから疑問点を挙げてくれました。いろいろな点が指摘されていてよかったです。この映画についていろいろ話し合うのに、なかなかいいスタートになったと思います。

さてさて、授業でも話したように、来週のワンダフルウィークでは、細かい点はちょっとおいておいて、この映画のテーマは何なのか、そのテーマに関し自分はどう思うのか、というポイントにしぼって議論を進めてもらいたいと思います。

あみのっち said...

やっとこの映画のDVDを観ました。
結局みんな、日常のなんてことのないシーンを選ぶんだよね。幸せはそういうところにあるんだなあ、なんて思いました。

ただ、望月さんが、かつての婚約者のテープを見るところは、ちょっと違和感がありました。フェアじゃないなあと思って。

評判の悪い古い建物ですが、私はとてもいいな~と思いました。なんだか懐かしい感じです。