Thursday, February 21, 2008

話す相手

前は全く空だった駐車場には車が一台止まっていた。車の専門家はシェーファー君の方だったからトレバーにはどんな車だったか分からなかったが、多分高級車だと思った。その多分高級車だった車の隣に男が立っていた。トレバーと同じぐらい二十代に見えて、服は車と同じように高級だっただろう。周りの状態を計算しているような表情だった。顔に見覚えもなく、声に聞き覚えもなく、その変な米国中西部中央言霊研究所に来る理由も不明だった。

トレバーの頭の中に賛否両論があった。頭の半分ぐらいは突然現れた人の車に乗るのは大変危険で何のとんでもない馬鹿がそういうことするはずかと討論した。しかし、他の部分はどうしてその人が必ず悪いと思い込んでしまうか、多分手伝えたいだけだと反論を挙げた。トレバーの頭全体はその他に何の帰りようもないと分かったから、前者の半分の方に賛成したのに結局車に乗った。

ドアを閉めて緊張して「ありがとうございます」と言った。

エンジンをかけてその不思議な運転手は深い声で「自分のためにこれをしているから感謝する必要がない。しばらくお前に会いたくて、そして自己紹介するべきだと思っていた。」

やっぱり乗らない方がよかったとトレバーは直ぐに後悔した。勿論どこからともなく現れる良きサマリア人みたいな人は正気なはずがない。だんだん消えて行ったいた研究所の駐車場を見て「私はそんなに有名とは思いません。人違いではないでしょうか」とほとんど希望を持っていない声で言った。

「有名人でもないのに」と言い出したがいきなり車を止めてトレバーに振り返って顔をよく見た。計算する目にそんなにじっと見詰められているからトレバーには顕微鏡で観察される実験のような感じがした。大パニックになったが、その人の握力は余にも強くてドアを開けられるとしても逃げられなかった。相手が呟いていたが、トレバーには一言も分からなかった。

検査は数秒で終わったが、トレバーには数分や半時間ぐらいかかったと感じられた。終わった後で不思議な運転手がもう一度運転し始めた。「いや、すみませんでした」と親切に謝った。「本当に人違いだったでしょうね。でも間違いは私の方だったからお家まで連れてあげます。」

トレバーは少しだけ落ち着いた。ほんの少しだけ。今度はシェーファー君のこともっと聞くべきだなと思っていた。そうすればこういうことにならないはずだ。その変な人の探している人間でなくてよかったと思ったが一緒に車に乗ることは不愉快だった。ただなるべく早くうちに帰って車から逃げる事が欲しかった。

しかし不思議な運転手は会話したかった。「ちょっと聞きたいことがあるんですが、どうしてその建物に行ったでしょうか。言霊に興味を持っているでしょうか。」

「いいえ」とトレバーはしかたなく答えた。返事しないとその人はどうするか分からなかったから話すしかないと思って答えた。「実は今日までは聞いたことがありませんでした、その言葉は。」「と思う」とは言わなかった。そして話したくないのに「そちらは興味を持っていますか」と言ってしまった。

「そうですね。ちょっと趣味だと言えるでしょう。凄いとは思いませんか。言葉には力が宿っているとは。」

トレバーの頭の中にもう一度賛否両論が出てきた。ある声はこの人が悪い、逃げろ、絶対話すなと連発していた。ほかの声がこの人そんなに悪いはずがない、話すだけでどの危険があるか、面白くなるかもしれないと言っていた。この討論いい加減にしろと言いたかったが、この狂っている人に自分が狂っているようには見えて欲しくなかったからただ会話を続けた。「真実であれば面白いかもしれませんが、おとぎ話のことでしょうね。」

「それだけだと思いますか。私は我々の古代の祖先にもう少し信頼しますよ。その人の思っていたとおり、力がほとんどどこにも宿っていると思います。言葉にも数字のも音楽にも自然にも。勿論人間にも。現在の人間たちの役割は祖先より一歩進んでその力の使い方を発見する事だと思います。」

本当に変わり者だな、この人とトレバーは思った。現在誰が信じるか、そういうこと。「じゃ、この車にも不思議な力が宿っているでしょうか」と皮肉っぽい声で聞いた。

相手が笑った。「そうですね。ま、ワシントン大学まで行ける力があると思いますけど。」

会話が終わってもいいところが来てトレバーが少し安心して目を閉じた。しかし数秒後大事なことに気がついて突然あけた。周りを見てそこからうちに歩いて行けることを知って誰かに感謝した。ドアの錠をそっと空けた。そして次の信号で止まったとき小さい声で「まだ行き先言ってないけど」と言ってドアを開けて車から飛び出した。

不思議な運転手が車からゆっくり出た。トレバーを追おうともしなかった。ただその車から逃げていた姿を見て、「お前に何が宿っているだろう」と深い声で叫んだ。「記憶を取り戻してからまた話し合おう。」

ちょっと不気味な依頼だったがその人は本当にトレバーと話したかった。様々な理由があったが、その中の一つはフリードマン君がいなくなった以来話せる相手は見つけにくくなったからだった。


続きを楽しみにしてください

7 comments:

Anonymous said...

トレバーさん、知らない人の車に乗るなんて・・・勇敢ですね!!変な運転手に拉致されることなく、大学まで無事に帰れたことは良かったのですが、一部完全に消えている過去の出来事があるみたいですね…覚えも無い人達から色々なことを依頼されたりして、言霊研究所と関わりのある人々の正体が気になりますね。なぜその人達はトレバーさんのことを知っている雰囲気なんでしょう・・・あ~続きが読みたいです!!

あみのっち said...

>勿論どこからともなく現れる良きサマリア人みたいな人は正気なはずがない。
……うーん、トレバーさんはこういう言い回しが本当に上手なんだよね。アメリカの小説を読んでいると、こんな感じのピリッとした皮肉がところどころに使われていますが、すごく洒落ていて、いいなあ~と思います。日本の小説だと、狙いすぎてイマイチなんだよなあ。これぞセンスの問題なんでしょうね。勉強になります。

今回は謎の運転手が登場ですね。敵か味方か!? 気になるなあ。トレバー君の中に眠っている記憶も気になる。

明君 said...

「結局車に乗った」って、この言葉が大好きです。

この小説を読んだら、トレバーさんはいつも学んだ言葉を活用する能力を感心しました。
「賛否両論」とか  ^_^

Sohyun Chun said...

本当によく知らない人の車を乗るのは、迷うべきなんですね~~ でも、ここは本当に寒いときが多くて時々、お巡りさんの車でも乗りたくなる場合があります~~
今日も歩いて学校で来るのが大変でしたが、ホンさんが家まで車で連れてくれました~^^; 先生はホンさん知っていますね~本当に優しい友達です~^^* 

mizube said...

「言霊に興味を持っているでしょうか。」それはすごい口説き文句ですね。

こんな表現を使う他人の車に絶対乗らないほうがいいです。寒くても...

Aridome said...

今回の書き出しもよかったよ。だんだんトレバーさん独特の日本語の文体が出来上がりつつあるねぇ。

私も、二度程このトレバー君のように、突然現れた見知らぬ人の車に乗せてもらったことがある。今考えれば、よくまあ、乗ったもんだと思ってしまうのだが、そのときは、ただそうするのが自然だという気持ちで乗せてもらったのだった。

Lawrence said...

本当に、見知らぬ人の車に乗るんですか!?怖いじゃないですか。

トレバーさんは不思議な雰囲気を上手く作りましたね。変な運転手の深い声は想像できますよね。さすが