トレバーは深呼吸した。パニックになりたくなかったがもうパニックになってしょうがないところに入った気がした。自分の部屋にいるのに、友達のはずのフリードマン君と話していたのに、何とか生き残るか死ぬかという状態になってしまった。授業をサボる天罰かとトレバーが思った。
「乗りたくないと言ったら」と躊躇して聞いた。
「無理やり乗らせるに決まってるんじゃない」とフリードマン君は笑いながら説明してくれた。
「まあ、悪派だからね」とトレバーの声が次第に消えた。車で絶対行きたくないところへ連れる覚悟をした。
突然声が聞こえた。「オ~イ、トレバー君」とシェーファー君が呼んだ。悪人達もトレバーも何かできる前に部屋に入ってしまった。「あのな、お前がそのお礼のビールはまだ買ってくれないと思い出してさ。。。」
そこできって、シェーファー君がドンドン色々なことに気がついた。まず、トレバーの部屋にトレバー以外二人がいたことに気がついた。そしてその二人の中の一人はフリードマン君のことに気がついた。最後にはその二人どもは悪意を持つ顔をしていたことに気がついてしまった。
「オッス」とシェーファー君が言った。それ以外何を言うべきか分からなかった。
シェーファー君の登場に捕らえる人達の気が散らされている間トレバーは馬鹿げた計画を考え出した。こっそり机からボールペンを取った。それが自分の立てた計画だとはトレバーは信じられなかった。自分にそんな計画を考え出す能力がないと思ったからだ。
フリードマン君と不思議な運転手がシェーファー君をじろじろ見ているうちプリンターの紙を一枚とって、「逃」という文字を書いた。そして急に不思議な運転手を肘で押し退けてシェーファー君の手首を掴んで紙を壁に叩き付けた。「逃げる」と自分らしくない声で叫んだ。
一瞬に壁が水のように透過できるようになった。トレバーが速くシェーファー君を引き回して壁を通してビルの外に出た。一瞬後壁がもとに戻った。
「あのう。。。お前、何をした」とシェーファー君が疑い深く聞いた。
「分からない」とトレバーが答えた。少しむかついた。ここまで来たのにまだ何も分からないと思った。
「いや、本気で聞いてるぞ。何をした」とシェーファー君が繰り返して言った。
「分からないってば」とトレバーが腹を立てて返事した。多分そこから何回か繰り返すはずだったが、その時に直前透過した壁が粉々に崩れた。
「逃げよう」とトレバーが言って走り出した。
シェーふぁー君が渋々トレバーを追った。「一つだけ聞かせてよ。フリードマン君達、お前と同じ事できるか。」
「うん。」
「だから逃せると思うかい。」
トレバーがまだ持っている紙を取り上げた。「これで助かる」と言った。「かもしれない。」
「あ、安心したな」とシェーファー君が皮肉っぽく言った。「紙一枚に助けられるなんて。」
「紙一枚にも力があるよ」とトレバーがまた自分らしくない声で言った。紙をじっと見つめて、もう一度「逃げる」と言った。唐突に足が速まった。
シェーファー君が笑いかけた。「中々やるじゃない。」
トレバーは何も言わなかった。まだ自分がやっている気はしなかった。
一分後駐車場に着いた。「オイ」とシェーファー君が車に乗りながら言った。「行き先は。」
「米国中西部中央言霊研究所。」
「えっ。何それ。」
「前の探検の第三所。」
「それを覚えてるはずか。」
「僕は覚えてるよ」とトレバーがシートベルトを締めながら言った。「と思う。」
続きを楽しみにしてください
8 comments:
そっか。これからは米国中西部中央言霊研究所ですか。面白いですね。
トレバーさんは本物のヒーロのよう、「紙一枚にも力があるよ」って言うのはすごいじゃないっすか。士気高揚ね!
私は、米国中西部中央言霊研究所というと事が本物であるならいいな~~と思いました。いろんな聞きたくて知りたいものがありまして~~^^;;;
「授業をサボる天罰かとトレバーが思った。」
私は教師になったら、こんなふうに考えさせたい。(笑)
そうですね~アミさん~^^;; トレバーさんの小説が面白いのは、学生の感情をひったり描写していたからだと思います~!!!
いや~金曜会の出席は強制ですが割と楽しいですね(^.^)。次回は必ず妻を連行して行きますね!(この前エントリーしたブログを見て「恥ずかしくて顔を出せない」と言い訳してました。)言霊の力についても話題に出ましたね。トレバーさんの小説を読んでいると、本当に言葉を書いたり言ったりすることで物事をコントロールできたら良いなぁって思っちゃいます。試験に備えた一夜漬けの時には「覚」と書いてから教科書やノートを一見で完全に覚えたり、妻に対して都合が悪い時は「逃」と書いたりして・・・
シェーファー君のひょうひょうとした感じがいいねえ。緊迫した場面に、彼が登場して、「まだビールおごってもらってないんだけど」なんていいよね。何か想像を絶するような力を持っていそうなフリードマン君とひょうきんなシェーファー君。前にもコメントしたけど、実物を知ってる私には、絶妙のキャスティングに思えるね。
金曜会楽しかったようでよかった。参加者が少なくなりそうだって聞いてたんだけど、大丈夫だったのかな?次回は最終回なので、私も参加します。カバロさん、是非奥さんもお連れしてください。
いや、まじで言霊使いになりたいです。
DEATH NOTEじゃなくて、KOTODAMA NOTEがどこかに売られてたら、買いに行くよ。
んで、「ハワイ」とか「沖縄」とか書いて、海で遊んだり、ウクレレ弾いたりして一日中だらだら過ごすのさ。
もしくは、「カルティエの時計40万」って書いて、ずっと狙ってた時計を手に入れるとか。
でも、もしかして私欲のためには言霊って使えないのかなあ……。
あーあ、しゃーない、仕事するか。
来週も楽しみにしてます。
授業をサボることがよく小説の中で出てきました。
もしかして、トレバーさんはこういうつもりがあるんだけど、先生が怖いですから、実行できなかった?
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